多彩な映像表現で多くの名作を残した巨匠・市川崑が、大女優・田中絹代の半生を吉永小百合主演で映画化。日本映画界の黎明期から女優として生きた田中絹代の情熱と奔放な私生活を描く。
出演 : 吉永小百合 森光子 石坂浩二 菅原文太 渡辺徹 中井貴一 平田満 常田富士男 横山道代 岸田今日子 井川比佐志 沢口靖子
・ amazon : The Screen Actress (1987) / 映画女優
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The Screen Actress (1987) / 映画女優のあらすじ
大正15年、京都下加茂撮影所の臨時雇いだった田中絹代は、若手の俊英、清光監督の後ろ盾で松竹キネマ蒲田撮影所に大部屋女優として入所した。この時、絹代は16歳。母、伯父、姉兄、一家あげての上京であった。闘志を抱きひたむきに仕事に打ち込む絹代は、撮影所長の城都や新進監督の五生らの目にとまり、五生の「恥しい夢」で主役デビューを果たす。その矢先、絹代は清光と恋仲になった。清光は結婚で女の艶が身に付くと言い、絹代もそれを望んだ。周囲は大反対し、二人は、城都の提案で試験結婚をする。が、テストは一年余で破綻し、絹代は一生結婚はしないと誓う。スターに登り詰めた絹代は、「マダムと女房」、「伊豆の踊子」など数々の作品に主演し、いくつもの恋にも熱中した。昭和11年、松竹が大船に撮影所を新設すると、絹代は古巣の蒲田を懐かしく感じた。そして、女優の娘に尽くしてきた母を亡くした。娘の胸の内が覗けなくなったと悲しんでいた母であった。世界的な不況、二・二六事件、支那事変と世の中は変化し、映画界では、東宝ブロックが誕生した。絹代の人気は若手女優に押されていたが、「愛染かつら」で新境地を開拓し再燃する。だが絹代は、何か物足りなさを感じていた。昭和15年、絹代は「浪花女」で初めて溝内監督と組んだ。溝内の凄まじい情念は、絹代の闘志を燃え立たせ、厳しい相剋は、女優として女としての新しい発見を生んだ。大きな戦争を挟み11年の後、41歳の絹代は、溝内の「西鶴一代女」を演じる。老醜とまで言われた厳しい時代があった絹代、溝内も失意の苦しい時を過ごしていた。絹代は、溝内がこの作品と心中するつもりだと感じ、自分もまた覚悟を同じくする。
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