Ohan (1984) : おはん

生活力の乏しい三十男が、一途さとしたたかさをもつ妻と、情熱的で激しい気性の芸者との間で揺れ動く姿を、親子の愛情を絡めて描く。宇野千代の同名小説の映画化で、脚本は「細雪(1983)」の日高真也、監督は脚本も執筆している同作の市川崑。撮影は五十畑幸勇が担当。

出演 : 吉永小百合 石坂浩二 大原麗子 ミヤコ蝶々 常田富士男 香川三千 音羽久米子 早田文次 長谷川歩

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Ohan (1984) / おはんのあらすじ

おはんと幸吉は夫婦であったが、幸吉がおかよという女をつくった為に別れることになった。別れの日、おはんは、母の言いなりに実家に戻ることを幸吉に詫びた。おかよは二人の抱え妓を持つ芸妓で、一途に幸吉を好いていた。幸吉とおかよが共に暮らして七年が経ったある日、偶然に幸吉とおはんは再会し、逢瀬を重ねるようになった。おはんは、おかよに済まないと思いながらも幸吉と愛し合う喜びにふるえ、幸吉は二人の女の間をどっちつかずに彷徨っていた。おはんには悟という別れてから産まれた幸吉の子がある。ある時幸吉が商う古道具屋に悟がやって来て、幸吉は父と名乗らず悟と接するうちに親子一緒に暮らしたいと思うようになった。その頃、おかよは姪のお仙を一人前の芸妓に仕上げようと夢中になっていた。幸吉とおはんは人里離れた家を借りた。幸吉はおかよも納得していると嘘をついた。新居で親子三人が初めて会おうという日、おはんの心は踊っていたが、山道を一人で新居に向かっていた悟は淵から転落し命を落とす。幸吉は、おはんの実家に駆けつけ、悟の亡骸の前で因果応報と泣き崩れる。おかよは、この時はじめてお仙から二人のことを知らされ激しく怒り動揺した。おかよは愛し合い一緒にいられるだけで幸せと尽くして来た。おかよはおはんの実家に乗り込み、二人の女は幸吉を間に初めて対峙した。おかよは毅然と七年の絆の深さを言い募り、おはんは自分の浅い心でおかよを悲しませたと詫びた。おかよは幸吉を取り戻すが、心は鬱々と塞いだままだった。幸吉におはんの手紙が届く。ひと言も幸吉を責める言葉はなく、愛された幸せとおかよへの詫び、実家を出てひとり何処かで暮らすことなどが切々と綴られていた。おかよはおはんの真情に衝撃を受ける。好きな男を決して譲らぬおかよと、身を引いて愛を貫き男の心に鮮やかな姿を刻むおはん。二人の有り様はひとつ女の心情でもあった。

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