妻に去られ二人の子供を育てる刑事と、恋人を殺され報復に燃える若い刑事を主人公に事件が解決される過程で、現代社会における幸福とは何かを描く。エド・マクベインの小説『クレアが死んでいる』を基に、脚本は「古都(1980)」の日高真也と市川崑、「おやゆび姫」の大薮郁子の共同執筆、監督も同作の市川崑、撮影も同作の長谷川清がそれぞれ担当。
キャスト : 水谷豊 永島敏行 谷啓 中原理恵 永井英理 黒田留以 市原悦子 草笛光子 浜村純 加藤武
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Happiness (1981) / 幸福のあらすじ
城北署刑事課の北に、大学生の恋人・庭子から待ち合わせに遅れると電話が掛かる。その昼下がり、野呂は事件発生の電話を受けた。非番の村上はアパートで家事と子供の世話をしていた。姉の信、弟の勉の二人の子供、妻は一ヶ月程前に家を出た。事件は、都内の書店での銃乱射事件。被害者の一人は庭子であった。庭子と雨宮という中年男性が死亡、重傷の遠藤も搬送された病院で”うどうや”と言い残して死んだ。捜査が始まり、野呂は村上の家庭を案じる。母親不在の家庭で、小学生の信は家事をこなし勉の世話をする。村上が子供を置いて出て行った妻への不満を漏らすと、信と勉は強く反抗した。村上には妻が出て行った理由が分からない。被害者三人に繋がりはなく、犯人が誰を狙ったのか不明である。被害者の周辺を調べていくと彼等の生活が見えて来た。大学教授で子沢山の雨宮、会社勤めに不安を抱き妻に内緒で脱サラを考えていた遠藤。そして、父・長作と暮らす庭子の別れた母のこと、福祉センターのアルバイトで知り合った車崎るい親子のこと。これらは北の知らないことだった。るいの15歳の娘・みどりが、妊娠中絶による出血多量で河原で遺体となって発見された。庭子は、車崎親子の深刻な問題に深く関わっていた。そして偶然事件に巻き込まれ命を落とした。北は、庭子のことを十分に知らず支えられなかったことを悔やむ。村上もまた、妻と子供のことをよく知らずにいたと感じている。村上は、親としての自分、夫としての自分を考え、妻の気持ちを考えた。捜査は、遠藤が前借りした退職金の行方、遺した言葉をヒントに急展開する。事件が解決したら妻に会いに行くと決心し仕事への思いも新たにする村上は、自分を頼りとする信と勉の心に触れ二人を抱きしめ父親であることを噛み締める。犯人を追って、村上と北は島根へ向かう。
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