Kokoro (1955) : こころ

夏目漱石の長編小説「こころ」を1955年に市川崑監督で日活が映画化した作品。
人間のエゴイズムを追求した夏目漱石の原作に真っ向から挑み、正攻法に徹して、孤独の心、悲哀、苦悩を深く見つめた意欲作。

出演:森雅之 新珠三千代 三橋達也 安井昌二 田村秋子 鶴丸陸彦 北林谷栄 下元勉 久松晃 下條正己 奈良岡朋子

 ・ Youtube : Kokoro (1955) / こころ

Kokoro (1955) / こころ のあらすじ

明治45年。野淵は、高い学識を持ちながら世に出て働かず本郷の自宅で妻の静と厭世的な暮らしをしている。大学生の日置は、ある海での出来事以来、野淵に強く惹かれ足しげく野淵の家を訪れる。野淵には誰にも言えぬ心の秘密があり、そのことが、本来は明るい性格の静に屈託を感じさせていた。野淵の思想を尊敬し、その背景にある人生の経験を知りたいと真摯に語る日置に、野淵は、時期が来たら全てを話すと約束をする。そして、明治天皇崩御、乃木大将殉死の報にふれた野淵は、日置に宛てた手紙を綴る。人間は罪悪だ、と語る野淵、その秘められた過去とは、学生の頃、共に静の実家に下宿していた親友・梶の自殺にまつわる出来事であった。精神的向上心を持ち、道の為に強靭な精神力を鍛え上げようとする梶は、静を愛し苦悩していた。その告白に、静を奪われたくない野淵は、友情を裏切って梶を死なせ、友情厚い男のように振る舞った。野淵は、愛する唯一人の女を妻としながら、静がいるかぎり梶を忘れることが出来なかった。静は、野淵一人を頼りとしながらその心を知ることが出来ずに暮らしていた。その手紙は、明治の終焉に死を決意した野淵の遺書であり、静の過去の記憶を綺麗なものにしておくために、日置唯一人に打ち明けられた秘密であった。

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